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ユダヤ教の食事は戒律(カシュルート)によって決められています。食べ物は豚肉が禁じられますが、ユダヤ教のグルメも紹介しました。他にも代表的な安息日、特徴的な服装や帽子、クリスマスや教会(シナゴーグ)にも触れています …
ユダヤ教の特集はこちらの目次からどうぞ。↓
ユダヤ教は食事に制限があります。
牛肉はカシェル(OK)ですが、レアではなくウェルダンでなくてはいけません。豚肉は禁じられている他、エビやカニなどの甲殻類を始め、タコやイカなども食べる事は出来ません。なんと、チーズバーガーも食べてはいけないなどユダヤ教ではない人からすれば良い悪いがわかりません。今日は食事を含めユダヤ教の戒律の謎に迫ります。
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ユダヤ教とは
ユダヤ教はユダヤ人の民族宗教です。
その歴史は古く、世界宗教であるキリスト教やイスラム教から生まれた宗教だと言っても過言ではありません。この3つの宗教はアブラハムの宗教と呼ばれ、世界の半数以上の人達が信仰しています。ユダヤ教は「信じるだけでは救われない」とし、信仰や教義よりも宗教儀式や宗教行為などの実践や学究を重視しています。
ユダヤ教信者(ユダヤ人)は、世界で1500万人とも言われ、イスラエルに最も多いものの、アメリカを始め世界各国で暮らしています。ユダヤ教の戒律は行動を重んじるため厳しい信仰生活が求められるものの、教派によって差があり厳格に戒律を守っているのは超正統派(最右派)などを始めとしたユダヤ人の2割だと言われています。
しかし、この超正統派は国際ニュースにも散見されますが、信仰上の理由から出生率が高く(6.9人)、国民1人当たりとしても世界一です。2019年1月時点ではイスラエル国内の信者比率は12%(約100万人)ですが、21世紀半ばにはイスラエル人口の40%に達するとの予測もあり、注目が集まっています。
ユダヤ教の戒律
ユダヤ教は戒律主義とも呼ばれています。
代表的な戒律は安息日とカシュルートという食事の戒律です。簡単に言えば、安息日という戒律はユダヤ人が神の民だという記念日、カシュルートはイスラム教で言うハラールの元になった戒律で、ようはユダヤ教の食品基準とも言えるでしょう。
ユダヤ教の安息日
1週間の生活でもっとも重要な戒律は安息日です。
金曜の日没から土曜の夕までの1日で、この日ユダヤ人はいっさいの日常の仕事に従事することを禁じられています。神ヤハウェのみが存在する創造者であり、主であることを認識するために、自然界と人間が営む世界への働きかけからユダヤ人は身を退けなければなりません。
ユダヤ人の暦では秋のティシュリの月に1年が始まります。月初めに新年祭(ローシュ・ハッシャナ)を祝い、その月の10日に贖罪(しょくざい)の日(ヨーム・キップール)を迎えます。
この日はユダヤ教におけるもっとも厳粛なときで、悔い改めと神の赦(ゆる)しを求めてこの日1日完全に断食(だんじき)を行い、シナゴーグと呼ばれる会堂で祈りに終始します。罪を告白し、人間の至らなさを悔いると共に神の無限の慈(いつく)しみを讃え、宗教的な誓いの束縛からユダヤ人が解放されることを願うのです。
ユダヤ教の食事
ユダヤ教の食事には戒律があります。
一般的に食の戒律はカシュルートと呼ばれ、食べて良いものをカシェルまたはコシェルとして規制しています。イスラム教のハラールと同じように、カシェルはユダヤ教の戒律に適合したもの(相応しい状態)という言葉で、食事以外にも宗教的にOKなものを、カシェルという呼び方をするのが一般的です。
カシュルート(ユダヤ教の食事)の重要な目的の1つは、ユダヤ法(ハラーハー)に照らして適合した清浄な食物を明確にし、そのための調理法や、食品ならびに調理用什器の選定と管理に至るまで規範を示し、食物や調理、食事そのものを聖化することです。
簡単に言えば、日本で言う精進料理のような清浄な食物や料理によって信者(ユダヤ人)の健康を守ろうという事でしょう。
ユダヤ教の発祥は紀元前の民族宗教で、言うならば先人の叡智です。食中毒などを始め、宗教的な要素より危険が潜む食事を避けるためという意味合いが強かったという背景は言うまでもありません。
現代では食事に関する様々な問題が科学によって解明され、当時にあった実用的という意味合いよりも宗教的な意味合いとして戒律が残っていると言っても良いでしょう。
豚肉
ユダヤ教にとって豚肉は不浄な食べ物になります。
イスラム教でも豚肉が禁じられているのはユダヤ教の名残りというか伝統を受け継いで禁止されていると言っても過言ではありません。豚肉を始め、食べて良いものと禁止されているものはキリスト教で言う旧約聖書(ユダヤ教ではモーセ五書)のレピ記11章に書かれています。
なぜ、豚肉を食べてはいけないのかイスラム教特集で書いた記事ですが、ユダヤ教にとって禁止する考え方は共通しているので、興味があれば参考にどうぞ。↓
ユダヤ教の食べ物
ユダヤ人の食事は、律法で5つ規定されています。
まず、儀式的に手を洗うこと、その時祝祷を唱えること、食卓に就いて感謝の祈りを捧げること、食事中も話題はトーラーについて語られること、そして食後の感謝の祈りが必要です。
実際にユダヤ教の食べ物はどんなものを食べているのでしょうか。ユダヤ教の多いイスラエルで実際にローカルのユダヤ人が食べているグルメを紹介します。イスラエルは移民の多い国で、歴史も浅く伝統料理などはありませんが、数あるイスラエルのグルメの中で最も美味しい料理を厳選しました。
Sabich(サビーフ)
Sabich(サビーフ)は、揚げたナスとゆで卵のピタサンドウィッチです。
テヒーナ、玉ねぎ、サラダ、パセリなど、お店によってトッピングも様々ですが、テルアビブで一番人気なサビーフのお店「Sabich Frishman」は、いつも行列ができています。地元の人にも人気です。
Shakshuka(シャクシューカ)
中東版オムレツ・シャクシューカは、もともとこの土地に根付いていた料理です。
トマトソースの中にポーチドエッグ、スパイスが入っており、そこに新鮮なチーズがたっぷりのっています。アラブ人はこのオムレツはお昼に食べることが多いそうですが、ユダヤ人はこれを朝ごはんにします。
Hummus(フムス)
フムスは中東の広い地域で食べられている伝統料理です。
ひよこ豆のペーストに、オリーブオイルや胡麻ペースト、パセリやレモン、スパイスなどを混ぜ合わせた料理で、ピタパンや玉ねぎなどの野菜と一緒に食べます。フムスは植物性で、栄養価も高くヘルシーであることから、世界中のベジタリアンやヘルシー志向の人々から注目されているイスラエル料理です。フムスは日本でも徐々に人気を高めてきており、最近では「フムスダイエット」というのも流行り始めています。
ユダヤ教の服装
ユダヤ教には教派によって服装も違います。
ユダヤ教の律法は守るけど服装は気にしない伝統派、また伝統的な服装を重んじる正統派などユダヤ教でも人によって服装が変わります。ユダヤ人男性の黒のスーツと帽子を着用し髭やもみあげを伸ばしているのが特徴的です。
ユダヤ教の男性は、漆黒のスーツと漆黒のハットを着用し伝統的なユダヤ人の服装を遵守します。ユダヤ教の女性は、ヒジ、ヒザ、鎖骨の露出、派手な色や模様、ボディーラインの出る服など露出の多い服装の着用が禁止されています。
ユダヤ教の帽子
ユダヤ教はキッパと呼ばれる小さな帽子があります。
神に対して頭を隠すことて、神に対しての謙遜の意思を表す意味を持ち、男性の最低限度の服装として、この帽子を被ります。小さいためピンで留めるようになっていますが、髪の短い人、薄い人、無くなった人は、信仰心で留めているというジョークさえあります。実際に、嘆きの壁など、神聖な場所では一般人にもキッパの着用が義務付けられており、紙のキッパが用意されている程です。
私たちから見ると各々の違いはよくわかりませんが、ユダヤ人からすると帽子の種類や、帽子の傾け方、もみあげの長さや、服の着こなしで、どのラビ(先生のような存在)についているか、どこの宗派なのかわかるようです。
ユダヤ教のクリスマス
ユダヤ教はクリスマスを祝いません。
クリスマスは基本的にキリスト教の宗教的な祭りで、同じ時期に開催されるハヌカーという祭りを祝います。この2つの祭日は起源も性格も異なり、クリスマスはイエスキリストの誕生を祝い、ハヌカーはエルサレム神殿の奪回を祝います。
また、西暦ではなくユダヤ暦で行い、クリスマスとほぼ同時期に行われます。イスラエルではハヌカーとクリスマス、イスラム教のラマダーンを同時に祝う世俗的なフェスティバルも行われています。なんと、あのホワイトハウスでもハヌカの式典が毎年行われていたりします。
ユダヤ教の教会
ユダヤ教にとっての教会はシナゴーグと呼ばれます。
ユダヤ教会と呼ばれる事もあり、日本では全国に4つ(東京、横浜、名古屋、神戸)あります。神戸にあるシナゴーグは日本最古と言われ、周辺にはユダヤ人が沢山住んでいます。基本的に、シナゴーグがユダヤ教の信仰生活の中心となるため欠かせません。
世界最古のシナゴーグ はレバノンにあるシドン・シナゴーグで、世界で最も美しいとされるシナゴーグはハンガリーにあるヨーロッパ最大のドハーニ街シナゴーグでしょう。
まとめ
ユダヤ教には厳しい戒律があります。
しかし、言い換えてみればその厳しさは明確な神の啓示であり、救い(メシア信仰)への礎、そして神の民であるユダヤ人の尊厳となっているのかもしれません。
ユダヤ教人口は決して多くはありませんが、世界最大の信者数を抱えるキリスト教や世界2位のイスラム教の発祥に大きく影響を与えた母なる宗教がユダヤ教だとも言えます。出生率が信仰上高いため、数百年後には現在の勢力図も大きく変わるのではないでしょうか。
次はユダヤ教の総集編です、お楽しみに。↓
あとがき
ユダヤ教は賢いと言われます。
信仰によって出生率の下支えをすると共に、教えの中心には教育を最優先させよとあり、教義は信仰よりも実践や学究を重んじる姿勢を見ると、目先の問題より気の遠くなるほど将来の繁栄が約束されるであろう未来がユダヤ人でない一般人にも感じることができるのではないでしょうか。
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