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仏教は宗派によって違いがあります。代表的な13宗派の特徴や違いを一覧にしました。仏教徒の割合も最新統計から抜粋しています。意外にも、お経も宗派によって違いがあるの知っていましたか? …
仏教の特集はこちらの目次からどうぞ。↓
第3回 仏教の伝来は538年、552年どっち?【日本一わかりやすい教科書】
仏教には無数に宗派があります。
日本では、伝統仏教13宗派という括りがありますが、それ以外にも仏教には様々な宗派があります。日本人として馴染みのある仏教ですが、自分を仏教徒だと感じる瞬間は意外と少ないはずです。もしかしたら、お墓のあるお寺の宗派さえ知らない人もいるでしょう。
今日は、そんな日本人に馴染みはあるけど詳しく知らない仏教の宗派の違いを紹介します。
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仏教とは
仏教とは世界三大宗教の1つです。
世界で5.3億人もの仏教徒を抱え、日本でも神道に並んで馴染みの深い宗教でしょう。仏教は一神教と多神教の両面を持ち、他の世界三大宗教の中で唯一の特質と言えます。宗派に関わらず共通した仏教の教義は、苦しみの輪廻から解脱することを目指しています。
日本に仏教が伝来したのは538年に百済(朝鮮半島)から伝わったとされています。
仏教の宗派
仏教には様々な宗派があります。
末端の宗派まで加えれば、その数は今や数え切れない程の宗派に枝分かれしています。仏教の宗派を大きくカテゴリー分けするならば3つ(部派仏教と大乗仏教、密教)に分かれます。
部派仏教で現存する宗派は上座部仏教のみで、要約すれば四念住、止観などの実践修行によって涅槃(ねはん)と呼ばれる煩悩を滅尽(めつじん)して悟りの知恵(菩提)が完成された境地を目指す宗派です。
そして、大乗仏教は日本でも耳にしたことがあるように、日本の大半を占める宗派が大乗仏教と言われています。大乗仏教とは、上座部仏教のように「自ら修行する出家者しか救済を得ることができない」という宗派ではなく、人は他者により済度されることが可能で、一般民衆など非出家者をも救済する教義が特徴の宗派です。
最後になりましたが、密教は仏教とヒンドゥー教(タントラ教)を組み合わせた教義が特徴の宗派です。教義、儀礼は秘密で門外漢には伝えないことから密教と呼ばれるようになりました。
日本における仏教の宗派
日本でも数多くの宗派があります。
日本で代表的な宗派は6つの系統から派生した宗派で、伝統仏教13宗(華厳宗、法相宗、律宗、真言宗、天台宗、日蓮宗、浄土宗、浄土真宗、融通念仏宗、時宗、曹洞宗、臨済宗、黄檗宗)と呼ばれています。
(紫;浄土系、橙;法華系、赤;密教系、茶;禅系、緑;密教&法華系、青;奈良仏教系)
宗派の割合
日本で最も多い宗派は浄土系です。
おおよそ仏教徒全体の半分に近い割合を占めています。文化庁が毎年12月末に発表している宗教統計調査(平成29年)によると、仏教徒数は4800万人でおおよそ3人に1人の割合で仏教徒になります。
宗派ごとの内訳は浄土系が2260万人、法華系が1160万人、密教系が540万人、禅系が470万人、密教&法華系が300万人、奈良仏教系が70万人の順となっています。
仏教の宗派一覧(特徴や違い)
それぞれの宗派の開祖や本山、特徴などを今から順番に紹介します。
一般的に仏教の宗派は13宗と呼ばれますが、18宗(禅系;普化宗、奈良仏教系;三論宗、成実宗、倶舎宗、聖徳宗を加える)と呼ばれる事もあり、今回の解説は13宗の宗派のみを解説します。
浄土宗(浄土系)
浄土宗は南無阿弥陀仏で有名です。
浄土宗の念仏はここから始まったと言っても過言ではありません。開祖は源空で、本尊は阿弥陀仏(阿弥陀如来)です。本山は京都にある知恩院(総本山)を含め全国に13カ所あります。浄土宗の特徴は、専修念仏と言われ専ら念仏のみを修し、他の行を修めない事です。
簡単に言えば、南無阿弥陀仏を口に出して唱えれば、必ず仏の救済を受けて平和な毎日を送り、お浄土に生まれることができるという他力の教えです。
浄土真宗(浄土系)
浄土真宗と言えば、他力本願という言葉です。
この言葉は開祖である親鸞が広めたました。本尊は阿弥陀仏(阿弥陀如来)です。本山は京都にある本願寺を含め全国に10カ所にあります。浄土真宗の特徴は、浄土宗ほど念仏に重きを置かず、阿弥陀如来への信心を重視しています。
簡単に言えば、口に出さずとも念仏を唱えようとする時点で既に信心は得られているという教えです。他力本願という言葉通り浄土系の中で最も他力の教えを説き、その教えは絶対他力とも呼ばれています。
融通念仏宗(浄土系)
融通念仏宗は相互扶助の教えです。
開祖は良忍で、本尊は十一尊天得如来です。本山は大阪にある大念仏寺(総本山)の1カ所です。融通念仏宗の特徴は浄土宗と同じく念仏を唱える事により救われるという教えです。
他と違う特徴として「一人の祈りがすべての人の為になり、すべての人の祈りは自分のためにもなっている」という一と多の相互関係に重きをおいている点です。
時宗(浄土系)
時宗は今のひと時を大切にします。
開祖は智真で、本尊は阿弥陀仏(阿弥陀如来)です。本山は神奈川にある清浄光寺(通称;遊行寺)の1カ所です。時宗の特徴は、阿弥陀仏への信・不信は問わず、念仏さえ唱えれば往生できるという教えです。
簡単に言えば、仏の本願力は絶対的で、信じようが信じまいが、念仏さえ唱えればお構いなしという教えてです。
日蓮宗(法華系)
日蓮宗は仏の生き方を目指す宗派です。
開祖は日蓮で、本尊は大曼荼羅です。本山は山梨にある久遠寺(総本山)とし、全国で18カ所あります。日蓮宗の特徴は、無妙法蓮華経の7文字に法華経の功徳(善行)が全て込められているとし、法華経中心を徹底し法華経と人の行き方を一体化させようとする教えです。
簡単に言えば、法華経(仏の考え・価値観)を取り入れて仏のように人生を過ごそうという教えです。
真言宗(密教系)
真言宗はお遍路さん(四国八十八箇所)で有名です。
この修行は開祖である空海(弘法大使)が行った事からされました。本尊は大日如来です。本山は、京都にある東寺(教王護国寺)を含め全国で18カ所あり真言宗十八本山とも呼ばれています。真言宗の特徴は曼荼羅(悟りの境地を絵柄で示したもの)に代表される密教だという事です。
簡単に言えば、10段階の思想体系(十住心論)に区分け、段階ごとに必要な修行を積み、最終段階である生き仏を目指す道の教えです。
曹洞宗(禅系)
曹洞宗は悟りに対する逆説的な教えが特徴です。
開祖は道元で、本尊は釈迦如来です。本山は福井にある永平寺を含め2カ所です。曹洞宗の特徴は、専ら坐禅に徹することが特徴で、悟りを求めない修行によって悟りを得られるといった教えです。
また、きちんとした儀式作法を行い、教えに則った生活をおくることを重んじる事も特徴の1つです。
臨済宗(禅系)
臨済宗は日常の中に心理を求める特徴があります。
開祖は栄西で、本尊は釈迦如来です。本山は京都の妙心寺を含む14カ所にあります。臨済宗の特徴は、生きるもの全てが本来持っている本性である仏性に気付くという教えです。
簡単に言えば、言葉による理解を超えた範囲のことを認知しようとする教えです。
黄檗宗(禅系)
黄檗宗は他人より、まず自分を大切にします。
開祖は隠元で、本尊は釈迦如来です。本山は京都にある萬福寺の1カ所です。黄檗宗の特徴は、中国的な特徴を色濃く残し、この世の中に存在するのは心だけで、目で見えるすべての物事や起こる現象は、心の働きがもたらしたものという唯心(ゆいしん)の教えを重んじています。
天台宗(密教&法華系)
天台宗は全てを大切にする教えです。
開祖は最澄で、本尊は釈迦如来を始め寺によって違うようで明確な決まりはありません。本山は、滋賀にある延暦寺を含め全国に10カ所あります。天台宗の特徴は、全てを包括している点でしょう。
四宗融合とも呼ばれ、円、密、禅、戒、全てを大切にしています。その考えは修行にも表れていて四種三昧と4通りの方法があります。簡単に言えば、仏教には八万四千もの教えがあるのだから、あれもこれもやってみましょうという教えです。
華厳宗(奈良仏教系)
華厳宗は中国で生まれました。
開祖は杜順、本尊は毘盧遮那仏です。本山は奈良にある東大寺の1カ所です。華厳宗の特徴は、大方広仏華厳経(華厳経)を拠り所とし、一がそのまま多であり、多がそのまま一であるという相反するものを1つに統括しようとする教えです。
また、仏になることをゴールと考えるのではなく、最初から仏の立場に自分を置いて考えるのも特徴といえます。
法相宗(奈良仏教系)
法相宗は現存する最古の宗派です。
開祖(鼻祖)は玄奘で、本尊は唯識曼荼羅(ゆいしきまんだら)です。本山は、奈良にある薬師寺を含む全国で4カ所にあります。法相宗の特徴は、阿頼耶識(あらやしき)、末那識(まなしき)という深層意識を心の奥にあるということを認めている点です。
簡単に言えば、私達の認めている世界は総て自分が作り出したもの、10人の人間がいれば10の世界がある(人人唯識)という教えです。
律宗(奈良仏教系)
律宗はその名の通り「律」を大切にします。
開祖は道宣で、本尊は盧舎那仏(るしゃなぶつ)です。本山は奈良にある唐招提寺の1カ所です。律宗の特徴は、仏教の規則である戒律の中で「律=集団のルール・規則」を重んじる教えです。
戒は自分を制する誓いで、律は集団が円滑に活動するルールです。戒は自発的なものですから、守れなくとも罰則はありません。律には罰則があります。
宗派によるお経の違い
お経とは仏教にとっての経典(聖典)のことです。
お経はブッダの言葉を、弟子が後に編纂した物なのですが、ブッダの伝道スタイルと言うのが「応病与薬」と呼ばれています。ようは、病に応じて人に薬を与えるように、人の悩みに応じて法を説くため、その数は膨大な物になり、俗に8万4千と呼ばれますが正確なお経の数はわかっていません。
また、宗派によってお経が違います。例えば、多くの人が耳にしたことがある般若心経は、日蓮宗や奈良仏教系では使いません。代表的な大乗経典である法華経(妙法蓮華経)もお経として使うのは天台宗と日蓮宗のみです。仏教と一括りにせず宗派による違いを知っておいて損はありません。
まとめ
知っているようで実は知らない仏教の宗派。
最低でも、実家のお墓があるお寺の宗派くらいは知っておきましょう。違いがわかれば、好みに合わせて宗派を選択する事もできます。お墓は決して安い買い物ではないので、先祖代々というのも1つの考えですが、自分で納得のゆく宗派とお付き合いするのも手。
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あとがき
自分は仏教徒だと自覚がありません。
勿論のこと、宗派さえ知りませんでした。個人的な話をすると、私は実際に親族の葬儀をするまで実感を持てませんでした。多くの人が結婚する時にはチャペル(神社)で挙式を挙げ、クリスマスを祝い、正月になると初詣をする。宗教と一見無縁に見えて、実は生活に密着した文化にさえなっている暮らしぶりを見ると、宗派なんて気にしない、なんとも不思議で魅力的な日本人でだと思いませんか。
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